石油元売各社は、原油高・円安になると儲かる。

原油価格・為替変動に対する業績の変動の予測指標を影響度と呼ぶ。
下表は各社の原油高・円安に対する感応度をまとめた資料である。
たとばJXホールディングスでは1ドル/バレル原油高になると80億円経常利益がプラスとなる。
同社では、利益算出の前提条件を 60ドル/バレルとしているから、100ドル/バレルまで上昇すれば
3200億円の経常利益プラスとなる。

原油高、円安に対する経常利益への影響度(各社の2015年決算説明資料より) 単位:億円

 

原油 +1$/bbl(原油高)

為替 +1円/$(円安)

JXホールディングス

80

60

出光興産

34

10

コスモ石油

25

13

東燃ゼネラル石油

25

15

昭和シェル石油

20

10

国際石油開発帝石

30

12

原油高・円安で儲かるメカニズム。

【原油高の影響】
原油高の経常利益に内訳は、JXでは在庫影響+80億円、石油・天然ガス開発+20億円、
燃料費増-20億円となっている。これらを合計して+80億円となる。
在庫影響とは、石油元売会社はタンクに原油やガソリンの在庫を多く抱えており、これらの
購入した費用よりも、原油高により高く販売できる利益である。
石油・天然ガス開発は、自社で採掘している原油・ガスの利益である。
一方の燃料費増による-20億円は、原油を精製したり、運搬したりする燃料費が余分にかかることによる。
原油高の影響は在庫影響によるものが大きく、各社経常利益に対して同様の割合となる。

【円安の影響】
円安の経常利益に内訳は、JXではエネルギー改善+5億円、石油・天然ガス開発+5億円、
金属事業+10億円、在庫影響+40億円となっている。これらを合計して+60億円となる。
円安の影響は各社の為替ヘッジや購入経路、さらには石油専業とそうでない会社によって異なる
ことから各社経常利益に対して必ずしも同様の割合とはならない。

石油元売各社の株の売買

上記の理由から、単純に原油、為替価格で判断すれば、短期的には原油高・円安の際に株式は買いとなる。
ただし、当然ながら皆同じことを考えるので、原油高・円安の際にはすでに株価が上昇している可能性がある。
すなわち、原油価格が上昇基調になっているにもかかわらず、株価が上昇していない場合は買いとなる。
(他の影響もあるのでこれだけで投資判断は出来ないが)