2030年の人口:1億116万人

国の調査によると、現在の情勢下における2030年の人口は1億116万人と予測されている。
そのうち約40%は65歳以上の老人となる。
というころで、人口減少するとどうなるかを独自に考えてみた。


出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (http://www.ipss.go.jp/)

1.医療費・年金の現役負担がさらに増える

公的年金が制度上無くなることはおそらく無い。なぜなら、年金をなくすと生活保護費等で国の負担が更に増えるし、これからさらに高齢者が増えるに連れて、選挙対策の上で年金廃止なんて言えないからだ。実際、公的年金が破綻しないように、国は受給年齢を上げたり、消費増税をしている。
ただし、当然現役世代は消費増税分を余分に負担したり、受給年齢が上がることでリターンは小さくなる。はっきり言うと、国はルールを変えており年金の運用は不健全な状態であると言える。そもそも年金は人口拡大を前提にした制度であり、制度そのものに欠陥がある。年金制度はマルチ商法と変わらないという人もいる。

2.東京の満員電車は無くならない

人が減るから、満員電車も無くなり通勤も楽になると考えるとすればそれは誤りである。人口予測ではますます東京一極集中になることが予想されており、人口密度はさほど変わらないからである。一方の地方では人口減少はするが、鉄道会社は列車の本数を減らしてコストを削減しようとし、混雑率はあまり変わらないと考える(現状でも路線上の余裕があるにもかかわらず本数を絞ったおかげで満員電車というものもあり、JRは人を詰め込んで輸送しても何も思わないようである)。

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2040年までの東京の人口:他の地域に比べて減少割合は緩やか

3.長距離移動は早く、楽になる。

この時期になると東京外かく環状道路や、圏央道、新東名道路が全線開業し、人口減少も相まって高速道路の渋滞は大幅に減少すると考えれれる。また、北海道新幹線や、リニア中央新幹線の開業により、長距離移動は現在よりも大変早く、楽になる。また、未完成の都市計画道路も多く存在するが、これからは都心部以外は地価は下落傾向になるため、買収が容易になって重要路線の整備は容易になると考える。一方の不要な路線の新規着工は事業評価により未来永劫行われなくなるだろう。

4.地方都市の一部がゴーストタウンと化していく

人口減少にしたがって、地方都市の一部はゴーストタウン化していく。現在でも一戸建ての空き家や賃貸の空室率は多く、これが更に加速することになる。これらに相まって地方年の地価の下落にも歯止めがかからなくなる。現状、老後の第2の年金と銘打って賃貸経営等の話が多くあるが、人口減少が確実ないま地方都市での不動産の購入はリスクが高いと考えられる。

5.産業が縮小化、衰退する

日本の人口が減るのだから、国内消費量も減るのは当然である。また製造の担い手も減り、現在と同等の生産能力を維持するのは不可能である。現在の製造現場は自動化は進んでいるが、すでに最小限の人的リソースで経営している工場も多く、これ以上人を減らすと設備管理もままならなくなる。

6.日本円の価値が相対的に低下する

日本の産業が衰退するのであるから、日本は貧乏な国になり、当然日本円の価値は長期的に見て低下していくはずである。したがって、日本円を保有していることはリスクとなる可能性がある。

7.エネルギー、資源の使用量が減少する

エネルギー、資源の使用量が減少することはいいことである。人間が文化的な生活を営むためには、エネルギー、資源は無くてはならない。少数の農家が国民全員に行き渡るお米をつくるのだって、トラクターにガソリンを入れないといけない。今後、再生可能エネルギーや省エネ技術が発達することで、資源消費はより少なくなると考える。実際、石油使用料も粗鋼生産量も減少に転じている。少ない資源で国家を経営できることは、今後の数少ない日本の強みとなる。
ただし、これらの前提は各企業がこれからの産業構造を縮小化させる前提で動いた場合で、一部の会社だけが和を乱して国内供給を拡大しようとすると、供給過多となり産業構造はさらに悪化する。

最後に:人口予測は鵜呑みにしてはいけない

自然科学と違って人口予想の社会科学は現在の状況(社会情勢、仕組み)で予測されたものである。このため、予測が望まない結果であれば、社会の仕組みを変えることで異なる結果にもできる。したがって、目先のことばかりを優先せずに、将来を見据えて行動していくことが大切である。